黒百合の女帝
 「ところで単純な疑問だけど、ミヤビの部下がなんでヤユに付いてきたの?」

わざわざ嶺春を辞め、麓冬まで来る訳とは。

まさかミヤビが仕向けたスパイだろうか。

その場合、その話も疑わしくなってくるのだが。

カヤは少し唸ってから返事をした。

 『それはわかりませんが、ミヤビのことは不審に感じていたとか。その理由の一つに、もう一つの証言も関わってきますよ。どうやら、ミヤビは定期的にとある下っ端と密会していたとか』

 「ミヤビの配属じゃない奴なの?」

 『はい。一ヶ月以上前から見かけるようになったらしいす。参考人Bは、滅多に部下と関わらないミヤビにしては珍しいと思っていたようです』

確かに、ミヤビはヒラとの交流を避けていた。

自分が持つ部下でさえ、極力関わりたがらない。

そんな彼にしては、不自然極まりない話だ。

 「ミヤビと密会していた下っ端の情報は?」

 『それは他の参考人たちからも得ることができました。目立たない、が全体的な評価です。しかし一人だけ、特別仲が良かった奴がいました。家にも行ったことがあるとか』

 「それ以外にはないの?」

 『さあ。火曜と金曜は倉庫に来ないとか言ってましたね。どうせ習い事とか、家の用事でしょうけど』

 「家くらいしか有力な情報はないね。しかも、まずその情報源すら怪しいし。」
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