黒百合の女帝
 やる気も湧かないまま、監視カメラを確認する。

スマホを倍速で眺めること、約数分。

午前一時以降は無人の映像だったのだが。

午前六時あたりに、突然一人の男が現れた。

予想外のことに、慌てて映像を巻き戻す。

通常の速度で再確認し、息を飲んだ。

その正体は、警戒しろと言われた例の男だった。

まさか、カヤは彼の不審さに気付いていたのか?

悔しく思いながらも、映像を注意深く見る。

防寒着を来た、高校生と見える男。

その帽子と靴は以前見た時と同型のもの。

手に持っているのは……ファイルだろうか。

それをがらくたの山に隠し入れていた。

そこからは素早く倉庫を後にしている。

以上の一部始終を、何度も見直した。

あの男で間違い無いか、見落としはないか。

十回は見たが、やはり結論は変わらなかった。

時計を確認し、席を立ち上がる。

今、天楼倉庫には誰もいない筈だ。

誰も居ないうちに、確認しておかなければ。
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