黒百合の女帝
 感覚としては二日後、実際は翌日の金曜日。

麓冬倉庫にて、計画の最終確認を待つ。

丁度午後八時になった頃、カヤが空咳をした。

 「今日は各諜報員を尾行する。決行は一時間後の午後九時だ」

カヤは総長を演じる時の、高圧的な口調だった。

その演技は、すべてラクアに対するものだ。

まあ、ラクアは全然話を聞いていなさそうだが。

ついでにハラも興味はなさそうだ。

しかしカヤはそれを無視し、話を続けた。

 「ユリ、ハラは刑牙、ラクアは天楼、俺は嶺春の諜報員を尾行する。それぞれの諜報員の住所は前もって調査済みだ。まずは各倉庫を確認。その後家の前に張り込み……」

カヤが言い終わる前に、ラクアが立ち上がった。

その乱暴さから、腹立っていることがわかる。

 「さっきから思っていたんだが、なぜユリが作戦に入っているんだ?」

声を荒げず、低い声で問い質すラクア。

それに対し、カヤが怯む様子はなかった。
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