黒百合の女帝
 そこから少し歩いた所に、バイクはあった。

徒歩では刑牙の諜報員に追いつけない。

そう判断し、昨日のうちに設置しておいた物だ。

黒いそれを引っ張り出し、その場で跨る。

久しぶりに乗るが、大丈夫そうだ。

嶺姫になる前はよく乗り回したものだ。

当時を思い出しながら、バイクを走らせた。


 そこは都内にしては立派な一戸建てだった。

死角になる所でバイクを降り、家を観察する。

さぞかし裕福な生活をしているのだろう。

子供が持つにしては高級なバイクを思い出す。

因みに、そのバイクは家の前に止めてあった。

それからおよそ30分は経っただろうか。

飽きてきた頃、ようやっと家から人が出てきた。

その人物は、全身を黒で統一させている。

黒い男は、迷うことなく赤いバイクに跨った。

男がバイクを発進させ、一分後。

私もバイクを走らせ、後ろに付いて行った。
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