黒百合の女帝
 適度に距離を保ち、走り続けること十分。

前を走っていた男が、バイクを止めた。

私もそれに伴い、離れた所にバイクを止める。

男が入っていった先は、寂びた小さい店。

看板には『画材のウイ』とあった。

ウとイの間に、もう一文字あったと推測できる。

他の文字も、半分以上が剥がれ落ちていた。

しかし、営業はしているのだろうか。

シャッターは全開で、明かりが溢れている。

気配を消し、画材屋に近づいて行った。

壁際の大きな窓から、中を確認する。


 中では五人ほどの青少年が集まっていた。

その中で一人、暗い赤茶髪の少年が座っている。

店内は狭いようで、会話は丸聞こえだった。

スマホで録音しながら、様子を伺う。

全員赤茶の前に並び、順に報告しているようだ。

その度に赤茶は『総長』と呼ばれていた。

そしてついに、刑牙の諜報員の番となった。
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