黒百合の女帝
 「僕としては、様子見するのも一択だと思うけどな」

そう発案したのはヤナギだった。

控えめに片手を上げ、首を傾げている。

確かに、慎重な判断は必要だと思う。

あの嶺春から逃げ切る計画を立てられる。

それだけで、カナルは相当の実力者とわかる。

私たちだって、対策はよく練ったほうが良い。

しかし、相手が優秀すぎるのが難点だ。

 「様子見とか言っている間に、孔冥か嶺春が動き始める可能性もあるけど。」

 「それは抗争を始めるってこと?」

 「そう。それに、孔冥に逆に不審がられるかもしれないし。」

私の反論に、ヤナギは姿勢を崩した。

背もたれに背を預け、考え込んでいる。

 「なら普通に同盟を組んだ方がいいのかなあ」

 「えーつまんねー」

 「ハラくん、面白さを求める話じゃないんだよこれ」

苦笑いを浮かべ、再び姿勢を正すヤナギ。

その視線は、カヤに注がれていた。
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