黒百合の女帝
 カナルの提案に、思わず眉を顰めた。

傍から見れば、舌を火傷をした人だろう。

生温い紅茶から口を離し、腕を組む。

親嶺派と私たちが戦った証拠は残したくない。

もし映像が流出したり、悪用されたら。

そう考えると、リスクの高い方法だった。

 「カメラはこっちが用意する。そして映像は抗争後、絶対に消す。それも私たちが。」

強い口調で指示すれば、カヤが繰り返した。

 『カメラは麓冬が用意します。そして映像は抗争後、絶対に消すと約束して下さい。消すのも麓冬です』

 『ああ、悪用が心配なのか。まあ大丈夫だが』

その返事に吐息を吐き、紅茶を飲んだ。

残りを飲み干し、イヤホンに指を添える。

すると立て続けに、耳元にカナルの声が届いた。

 『それから、抗争前と抗争後には俺に連絡を入れろ。応援が必要な場合もだ』

 『ありがとうございます。助かります』
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