黒百合の女帝
 「じゃあ、申し訳ないんだけどね、なんか、私たち春架と戦うらしくって……。」

最初に感じたのは、懐かしさだった。

徐々に消えゆく彼女の声が、記憶を引き出す。

今、冷酷で、心を蝕まれたような彼女はいない。

昔のような、優しくか弱い彼女が戻ってきた。

そして次にやってきたのは、絶望感だった。

春架と戦う。あの春架のみんなと。

現実味が帯びなくて、無意味な質問をしてみる。

 「ユリちゃん……それ、本当?」

 「私が嘘とか、吐くわけないじゃん。」

 「そうだけどさ、でも……。誰が決めたの?」

僕の質問に、ユリちゃんは黙りこくる。

垂れた前髪が、彼女の顔を覆い隠した。

 「カヤ。」

彼女が、捻り出すようにそう呟く。

本当に小さい声だが、この部屋にはよく響いた。
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