黒百合の女帝
 「カヤさんが、勝手に決めたの?」

 「違うっ。カヤは悪くないの。お願い信じて。」

前髪でカーテンを作ったまま、そう叫ぶユリちゃん。

しかし、僕は彼を許せる気分じゃなかった。

それでも、ユリちゃんのために頷く。

 「わかってるよ。大丈夫だから」

精一杯、落ち着きを取り戻そうとした。

それでも本当は、視界がぐにゃぐにゃしていた。

頭は春架のことで埋め尽くされている。

こんな時に限って、楽しい思い出が蘇る。

りゅうくんはいつもゲームを貸してくれた。

いおりくんはよく絆創膏を貼ってくれた。

たけしくんはお菓子を大量に持ってきてくれて。

かおるくんとはバイクの話で盛り上がった。

りんたろうくんは会う度に勉強を教えてくれて。

あきくんとはいろんな所に遊びに行った。

次々とみんなとの思い出が浮かび上がってくる。

そして、それと同時に嫌な妄想をしてしまう。

僕があの子を殴る。ボロボロのあの子は泣く。

あの子は僕を睨んで、呪いを口にする。

そんな情景が、鮮明に脳内で再生された。

そんなことしたくない。あって欲しくない。
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