黒百合の女帝
 愛想笑いを浮かべつつ、彼の変化に気付く。

 「カケル君、筋肉付いたね。」

私の抱いた印象に、カケルが胸の前で拳を握る。

 「マジすかっ!?わかっちゃうすか!?」

 「うん。姿勢は良くなってるし、格好良くなったね。」

五倍増しの賛美を述べれば、彼は頰を緩めた。

 「ヤユさんのおかげっすよ!麓冬に来てから成長スピードばか早いんすよ!?」

当然だ。ヤユの功績は嶺春の伝説でもある。

四代目嶺春の、歴代とは比較にならない長所。

それは、下っ端同士の実力差が殆どないこと。

つまり、全体的な実力の水準が高いのである。

そしてその要因は、ヤユの指導が大きい。

そんな彼を前にすれば、誰でも上達するのだ。

 「おい、奴らが来たぞ!」

カケルが楽しげに喋る中、何者かがそう叫んだ。

皆が一斉に雑談を辞め、排気音に耳を澄ます
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