黒百合の女帝
 「ヤユの教え子の中で誰が一番だと思う?」

私の問いに、手を顎に添えるハラ。

仕草こそは考えているが、即決済みだろう。

こんなにも一目瞭然なら、悩む必要はない。

 「ま、当然カケルくんかな」

 「なんだ、ハラの眼が腐ってなくて良かった。」

 「その自分が正しいみたいな基準うざ〜」

彼の嫌味を聞きつつ、意識はカケルに傾ける。

正直言って、これは誤算だった。

まさか彼の実力がここまで上がっているとは。

あれはヤユの能力だけとは思えなかった。

本番で筋肉を正確に使える勘の良さ。

基礎を固めた上で応用できるセンスの良さ。

この短期間でここまで仕上げられる吸収力。

もしかしたら、彼は金の卵なのかもしれない。

などと考えていれば、敵は全滅していた。

その時、カケルはただ純粋に、両の拳を振り上げていた。
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