黒百合の女帝
夏八side

 スマートカジュアルな服装で来い。

というユリさんの命令に従って来たが。

服装を気にしつつ、駅ビルの休息スペースで休む。

すると視界の端に、白いヒールの先端が見えた。

 「カヤ、もう来てたの?早いね。」

3月8日、月曜日の午後六時丁度。

顔を上げると、すぐ目の前にユリさんが居た。

S字バングに、白のタイトなニットワンピ。

それらが彼女を上品に仕上げていた。

新鮮な姿に驚きつつ、ソファから立ち上がる。

 「それよりもユリさん、寒くないんですか?」

 「寒いよ。」

けろっとした表情で、そう返してくるユリさん。

それなら肩を出さなければ良いのに。

内心呆れながら、自分のロングコートを脱ぐ。

それを試しに、彼女の肩に掛けてみたのだが。

 「うーん。俺のコートじゃその服に合いませんね」

 「そう?じゃあついでに上着も買いに行く?」

 「そうしましょう。それまでは俺ので我慢して下さいね」

 「わかった。」

そう言うと、俺のコートに袖を通すユリさん。

身長は近い為、サイズに問題はなさそうだった。

 「じゃあ、早速カヤの30回目の誕生日を祝いに行こうか。」

 「言っときますけど、俺もっと若いですからね?」
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