黒百合の女帝
 昔から、家では和食が頻繁に出てきた。

畏まった場でも、大抵は料亭での食事だったし。

そのせいで、カトラリーの扱いはどうも苦手だ。

 「まあ、カヤもマナーは出来てるみたいだし。良いんじゃない?」

 「一応知識だけはあるので……」

時折皿を鳴らしながら、料理を食べ進めていく。

その過程で、俺の気分は和みつつあった。

前菜の次は、鮟鱇を使った魚料理だった。

魚をほぐしていると、向かい側の手が止まる。

視線を上げると、ユリさんもこちらを見ていた。

 「そういえばカヤって学生なの?それとも社会人?」

 「学生です。大学一年で、法学部です」

俺の返答に、ユリさんが相槌を打つ。

どうやら、珍しく興味を示してくれたようだ。
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