黒百合の女帝
 「ちゃんと単位は取ってるの?」

 「いえ。今年も進級はできなさそうです」

小さく切った魚を口に運び、今年を振り返る。

今年は去年以上に大学へ行かなかった。

ただし、来年度こそは進級しなければ。

でないと、大学を辞めるよう言われてしまう。

ナイフとフォークを離し、グラスを手に取る。

その動きは、さっきまでと比べて鈍かった。

 「俺が暇そうなのを見て、ヤナギさんが麓冬を紹介したんです」

 「へえ。それで、麓冬は暇潰しに丁度良い?」

 「ええ。おかげで毎日楽しいですよ」

葡萄ジュースを一口飲み、軽く微笑んでみせる。

すると彼女も同様の表情を浮かべた。

 「なら良かった。ところで、前から思ってたんだけど。」
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