黒百合の女帝
 そこまで言うと、彼女は一旦言葉を切った。

続きが気になり、パンに伸ばた手を引っ込める。

すると彼女は事もなげに、続きを口にした。

 「カヤとヤナギって、どういう関係?」

 「幼馴染ですよ。年の離れた」

 「そう?それ以上に何かありそうだけど。」

さて、なんと答えるか。

魚とソースを絡める彼女の様子は、普段通りだ。

しかし、実際には思惑があるのかもしれない。

ならば、これ以上詳しい事を話してはいけない。

ユリさんへの信用と、ヤナギさんとの約束。

それらは天秤に掛けるまでもなかった。

 「何もないですよ。本当にただの腐れ縁です」

こんな言葉で、彼女が納得するとは思えない。

だが、怪しまれること自体はなんら問題ない。

次の料理が来るまで、彼女から返事はなかった。

手元に置かれた肉料理に、ナイフで刃を入れる。

その動作と共に、別の話題を提示するユリさん。

落ち着かない空気を払拭するべく、相槌を打つ。

若干残る後ろめたさは、肉と共に押し込んだ。
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