黒百合の女帝
 「君、喧嘩強いんだね。もし興味あったらうち入らない?」

 「いや……すんません。俺、別の族入ってて……」

申し訳ないと思いつつ、きっぱり断っておく。

じゃねえと、カヤさんから怒られちまうし……

でも、今のはやっぱソウキさんに悪いよな……

恩人なのに、と居た堪れなく思えば。

ソウキさんはそれを聞き、ははっと笑ってくれた。

その笑いに、残念という様子は見えない。

 「ならしょうがないね。そうだ、お菓子いる?」

 「えっ……入んなくていいんすか?」

 「そりゃあね!無理やり誘うつもりはないよ」

拍子抜けした俺を笑い飛ばすソウキさん。

なんだ、気負わなくてよかったのか……

ソウキさん、めっちゃいい人だな!

見返りを求めないその姿に、憧れを抱く。

それはカヤさんと出会った時と同じ感覚だった。

その後、ソウキさんとは雑談をたくさんした。

話し込んだ結果、時刻はもう午後10時過ぎ。

帰り際になり、スマホを出してくるソウキさん。

 「連絡先交換しよ。また時間あったら会いたいし」

 「えっ!?いいんすか!?」

 「うん。でも、このことは誰にも言わないでね。誰にもだよ?」

その約束に必死で頷くと、ソウキさんが微笑む。
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