黒百合の女帝
 これで、彼女は俺に失望した筈だ。

彼女は当然、俺の身勝手さに嫌気が差しただろう。

だから俺を睨んでいるに違いない。

なぜか他人事のように、この状況を客観視する。

しかし彼女が涙を零した事で、感情的に戻った。

 「あっ、すまない。もし俺が嫌いになったなら」

 「違うんですっ。そうじゃなくて、そうじゃなくて……」

嗚咽混じりに、俺の狼狽を押し切る少女。

それを見て、彼女がただのか弱い少女でないと気付いた。

 「ユウヒさんはっ、まだユリちゃんのことが好きなんですか!?」

桃色の袖に染みを残しつつ、彼女がそう叫ぶ。

防音材が、彼女を素直にさせたのかもしれない。

ぼんやりと考えながら、彼女の問いを反芻した。
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