黒百合の女帝
 「じゃあ、お返しのチョコは期待してもいいんだな?」

 「期待しなくていいよ。ヨウのより小さいし」

ハードルを下げてから、チョコを手渡した。

一つは嶺春のみんなへ買ったチョコ。

もう一つは、ヨウのために作ったチョコだった。

板チョコを溶かして、型に流しただけの物。

それでも、ヨウは嬉しそうに受け取ってくれた。

 「すっげえ!このキラキラのやつ!俺好きなんだよ!」

 「アザランじゃなかった?」

 「たぶんそんなやつ!ありがとな!超嬉しい!」

そう言うと、顔いっぱいに笑顔を浮かべるヨウ。

無垢な笑みに、僕も笑い返した。

筈なのに、なぜか頰が引きつる感覚があった。

 「……おい、どうかしたか?」

変に笑ったせいで、目敏いヨウに心配される。

それでも、絶対にバレちゃいけない。

僕が今泣きそうで、ずっと心も痛いってこと。
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