黒百合の女帝
 「そうだ、ラクア。春休み中、どこかに遊びに行かない?」

今思い付いた、という口調で彼に提案してみる。

するとラクアはわかりやすく興味を示した。

 「本当か」

 「うん。どこか行きたい場所とか、したいことはある?」

私の問いに、俯いて黙考を始めるラクア。

あの残鰐がここまで無防備とは。面白いな。

水筒を傾けながら、その姿を観察する。

彼が閃いた様に瞼を開けたのは、およそ二分後。

 「動物園」

と呟きながら、ラクアが顔を上げた。

動物園。あまり考えたことがなかったな。

拒否する理由もない為、それに賛同する。

 「良いね、動物園!今ってまだパンダ居るよね?」

 「レッサーの方なら居ると思うが」

 「ジャイアントとレッサーはだいぶ違うと思うよ?」
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