黒百合の女帝
 最初に足を止めたのは、ツキノワグマの前。

説明によると、彼らは三月まで冬眠するらしい。

つまり、私たちは起きて間もない頃に来た訳だ。

中には、まだ冬眠している個体もいるらしい。

それらはモニターで冬眠の様子が映されていた。

 「見た目は肉食獣だけど、食事のうち九割以上は植物なんだって。」

 「意外だな」

 「なんかラクアみたいだね。」

熊を見ながら言うと、ラクアが顔を顰めた。

その様子に、肩を揺らして笑ってみせる。

 「だってそうでしょ?昼食は野菜スティック、おやつはカカオ豆と植物油脂を使ったチョコ。」

 「俺が肉食獣に見えるか?」

 「鰐は肉食だよ。古代は草食も居たって聞いたことがあるけど。」

 「相変わらず博識だな」

笑みを漏らし、口元を片手で覆うラクア。

それに笑みで返し、熊の元を離れる。
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