黒百合の女帝
 ああ、やっと彼が怯えている理由がわかった。

つまり、最悪の事態になったわけだ。

それをハラも察したのか、彼の声音が高くなる。

 「へえ、嶺春に行っちゃったんだ〜。ヤユくん乙〜」

ハラによる揶揄に、カヤが目を見開いた。

 「嶺春!?ヤユ、本当か?」

 「……すみません」

危うく聞き逃す程の声量で詫びるヤユ。

カヤは怖がらせたと思ったのか、謝罪で返した。

それにしても、ヤユが顔を上げる様子はない。

これ以上責任を感じさせれば、泣き出すだろう。

 「でもカケルくんが嶺春に行くってだいぶヤバくね?この四ヶ月間なによ」

あーあ。ハラが泣かせた。

そう思った頃には、ヤユが嗚咽を漏らし始めた。

それに忍び笑いを漏らす、性根腐敗男ハラ。

虐めの現場を横目に、総長代理へと声を掛ける。
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