黒百合の女帝
 「誰にも言わないよな」

 「当然。」

 「なら……まず、カケルの家はだいぶ借金を抱え込んでたらしい」

あ、本当に話すんだ。

ソフトドリンクを飲みつつ、意外に思う。

裏切り者の話なんかしねえ、とでも言うかと。

理由を考察しつつ、聖矢の話をもう少し聞く。

 「一回、うちに逃げ込んできたことがあったんだ」

 「追われてた……ってこと?」

 「ああ。親父がいけねえところまで手ェ出しちまったらしい」

そこまで話すと、生ビールを呷る聖矢。

卓上に置いたジョッキの音が、やけに重かった。

もしかして、カケルに同情しているのだろうか。

裏切った相手に、なぜそこまで感情的になれる。

不思議に思うも、この話には区切りをつける事にした。
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