黒百合の女帝
 「私にそのつもりはなくても、カヤにはそう聞こえたかもね。」

 「それじゃあ、僕が闇金の件を処理してくれると思った?」

 「僅かながらも。」

 「僕が柳組に入ってるって知ってたから?」

 「さあ。知ってても知らなくても、私は期待できた。」

曖昧な回答をするが、これは保険に過ぎない。

そのような質問をした時点で、彼は知っている。

私が路地裏の側で、彼の犯行を見ていた事を。

普段は露骨に表情を変え、道化を演じるヤナギ。

しかし今だけは、その微笑を崩さなかった。

 「まあいいよ。それで、ユリはカケルくん家の借金を調べてどうするの?」

 「ああ、それなんだけど、ヤナギ。」

私の呼び掛けに、ヤナギが立ち上がる動作を止める。

まるで、次に続く言葉を警戒しているかの様に。

その姿に表情筋を動かし、自然に見える微笑を作った。

 「佐川家の借金を減らすことって出来る?」
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