黒百合の女帝
翔琉side

 そういや、カヤさんからまだ話ねえな。

身支度をしながら、スマホで今日の日付を見る。

ヤユさんに脱退のことを言ったのは6日前……

忙しいんかな、と考えつつ、姿見を確認する。

そういえばピアス忘ってた、と思ったその時。

 「佐川さーん。居ますかー?佐川さーん?」

やっべ。なんで足音に気づかなかった、俺。

息を潜め、窓の方へ忍者みたく忍び寄る。

一回だけだったピンポンが、急激に増える。

穏やかだった呼び掛けが、怒声に変わる。

玄関の方からドンドンガチャガチャ。

それに耐え切れず、窓から外に飛び出した。

もう慣れたもので、二階からの着地も大成功。

父ちゃんに借金取り居るって言っとかなきゃ。

頭の隅にメモりながら、嶺春倉庫に急いだ。
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