黒百合の女帝
草希side

 「クソが……俺の一ヶ月どうしてくれんだよ」

 「わ〜、ソウキくんおこだあ〜」

 「てめえは黙れ」

机に突っ伏しつつ、頭を掻き毟る。

カケル。アイツに一ヶ月も割いてやった。

なのに昨日になってやっぱ辞めるとか……!

込み上げてきた怒りを原動力に、机を殴った。

教室中に音が響き、周囲の喧騒が止む。

にも拘らず、話しかけてくるのがこの女である。

 「ソウキくんっ!イライラしてるならジム行こ!」

 「お前と一緒にすんな。もう帰る」

弾んだ声が鬱陶しくて、席から立ち上がった。

鞄を雑に取り上げれば、露骨に悲しむ能天気女。

 「え〜!?今日体育あるよ?いいの!?」

 「じゃーな」

騒がしいお花畑に片手を振り、学校を後にする。

その直後、スマホがポケットの中で震えた。

取り出してみると、カケルからメッセが。

 『今度また遊びましょ!』

 「クソがっ。もうお前に用なんかねーよ!」

画面に向かって怒鳴り、連絡先をブロックする。

お前のせいで幹部昇格が遅れてんだよっ。

道端の石を蹴ったところで、ふと冷静になる。

幹部になるまで、あと最低半年は掛かるだろう。

こんなガキ一人に使った一ヶ月は勿体ないが……

まあ、気長にやっていけば良い。まだ挽回は可能だ。
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