黒百合の女帝
 「俺がこれくらいじゃ酔わない事くらい知ってんだろ」

 「じゃあなんですか、今の話は!」

声が大きくなるのを感じつつ、後ろに振り向く。

ヤナギさんはうざったい程の無表情だった。

彼の眼は、本気だと俺に訴えかけているようで。

突然すぎる彼の矛盾に、ひどく困惑する。

 「突然抜けろとか……嶺春を潰した後は好きにして良いって言ったのはヤナギさんでしょう!」

冷静さを欠いた状態で、ヤナギさんを睨み付ける。

逆に落ち着いている彼は、こちらに近付いてきた。

そして窓を静かに閉めると、俺を見下ろしてくる。

表情に乏しいこの男は、怒っているように見えた。
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