黒百合の女帝
 俺が何かを言って、ヤナギさんが笑って。

またいつも通り、他愛もない話で時間を潰す。

そんなテンプレが、いくつも浮かんで沈んで。

結局は上手くいかない現実に、瞼を閉じる。

しかし今は、なぜか眠りにつけなかった。

確かに頭は重いのに、どうしても眠れない。

だからか、暇つぶしに誰かと話したくなった。

 「ユリさん……俺、大学を卒業したら柳組に入るんです」

どうでも良い事を、ユリさんに零してみる。

視界はソファの背面に覆われ、その姿は見えない。

それでも、ただの自己満足の為に口を動かした。

 「親父が、よく言うんです。逃げられると思うなって。だから、逃げることは諦めました」

返事は返ってこない。

そりゃあそうだ。なんて答えろってんだ。

自嘲しようとするが、鼻で息を吐く前に啜る。

両目からは塩辛い涙が流れて止まらなかった。

 「だから、卒業をなるべく長引かせようとしてるんですけど……進級しろって怒られまして」
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