黒百合の女帝
 「違くてっ。俺は、そんな薄い絆を築いたつもりはないっ」

心臓が痛んで、長い髪が顔に張り付いて暑い。

酸素の薄い毛布の中で、懸命に息を吸う。

声が裏返ったその叫びは、ただただ見苦しい。

そんな中、毛布越しにユリさんに撫でられた。

それを繰り返され、幼子の様に落ち着いていく。

 「ヤナギも同じ事を考えてる筈だよ。だから、安心して。」

 「そんな保証、ないじゃないですか」

 「何か賭けようか?」

無邪気な声音が、朦朧とした意識に残る。

ほぐれかけた右手を、強く握り直した。
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