黒百合の女帝
 そう返しつつ、彼の側を離れる。

現在、反嶺派の連中は抗争を繰り広げている筈だ。

向こうが必死な中、こうして駄弁っているとは。

どことなく優越感を覚えながら、ベンチに座る。

その隣にはヤナギが居たが、話す気はなかった。

沈黙の中、先に口を開いたのは彼の方だった。

 「ユリに一つだけ、お願いしたいことがあるんだけど」

 「なに?」

私が尋ねると、勿体振って足を組み直すヤナギ。

珍しく黒い服を着た彼はこちらを一瞥しつつ。

 「この抗争が終わったら、カヤを追放してくれないかな?」

と、相変わらず胡散臭い笑みで頼んできた。

返答を考える前に、園内を素早く見回す。

どうやら、カヤはハラと話し込んでいるようだ。

それを確認してから、なんと答えるかを考えた。

彼の意図まで見抜いた所で、小声の回答をする。

 「脱退の意思は本人に任せるよ。」

彼の希望通りではないが、予想通りだろう回答。

それに対し、ヤナギは首を傾げて見せた。

鈴の音が鳴ると共に、彼が笑い声を上げる。

 「柄にもないこと言うね〜」

それに同様の表情を浮かべ、ベンチから立った。

それとほぼ同時に、カナルが片手をあげる。

 「移動するぞ」
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