黒百合の女帝
 しかし、サクラはお気に召さなかったようだ。

管理台帳を見上げたまま、横に頭を振っている。

 「違う……違いますっ。そんな記録、改竄だってできる!それに、部屋が開きっぱなしで鍵が必要なかった可能性だってあります!」

 「まあそうだな。だけれども、もう一つ物証はある」

そう言うと、彼はズボンのポケットを漁った。

そして次の瞬間、彼が取り出したそれは。

桜を模したパーツのあしらわれた、一つのバレッタだった。

それを見たヨウとヤユ、そしてサクラはというと。

絶句したのか、驚いて動かなくなってしまった。

その横では、ハラが左右に首を傾げている。

当然だ。彼は四月に嶺春を抜けているのだから。

ただし、八月まで居た者ならば全員知っている。
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