黒百合の女帝
 「俺がサクラにあげた、髪飾り……」

 「そうだな。サクラはこれを八月頃まで毎日のように付けてきていた」

 「どうして……サクラちゃん、それ、壊れたって……」

口元を手で覆いつつ、ヤユがそう呟く。

あげた張本人のヨウでさえ本物と言うのだ。

もはや、偽物だとは言えない状況である。

しかし、サクラは小刻みにかぶりを振るのみ。

 「知らない……私だって、なんでそれがあるのか……」

 「サクラは八月頃、ユリにこれを目の前で壊された。そう証言したな」

 「言いました。でも、本当に嘘じゃなくって、お願い、信じて……」

消え入りそうな声で、サクラはそう懇願すると。

とうとうヨウに支えられつつ、崩れてしまった。

力なくしゃがみ込む彼女は、ただのか弱い少女。

もはや声を掛け、何かを言う必要さえない。

そう判断し、ただただ愚かな彼女を見つめた。
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