黒百合の女帝
 そう言うと、穏やかにカップを傾けるヤナギ。

因みに、私はこの男を路地の怪物と呼んでいる。

二面性のある男ではあるが、危険性はなかった。

そう考えると、良い出会いだったとも思う。

 「それじゃあ、お疲れ様。」

 「おつかれ〜。あ、乾杯する?」

ヤナギがカップを持ち上げた為、私も持ち上げる。

そしてマグカップ同士をぶつけ合った。

しかし、互いにこの後何をすれば良いかわからず。

コーヒーを飲み干し、場が静寂に包まれる。

そんな中、ヤナギは上着を取りながら立ち上がった。

 「そうだ。ここは暫くは借りてた方がいいよね?」

 「そうだね。反嶺派同士の争いに勝つまで、あの倉庫は手に入れられないだろうし。」

嶺春の倉庫を思い浮かべ、そう答える。

あそこを手に入れたら、ここも解約だ。

ヤユが集めたぬいぐるみはその際処分しておこう。

 「じゃあ、またいつか。」

 「できれば会いたくないけど、またいつか〜」

そう言うと、ヤナギは倉庫から出て行った。
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