黒百合の女帝
楽亜side

 ユリの噂は、どこに居てもよく届く。

図書室でも、廊下でも、ゴミ捨て場でだって。

必ず誰かが彼女の善行を垂れ流しているのだ。

そしてそれらを聞く度に、段々と不安になった。

ユリが突然、俺を見限る日が来るのではないか。

そう考えると、どうにも怖くなってしまった。

だからこそ、今年からは授業へ出ることにした。

ユリに、俺を認めて貰う為に。

そう思い立ち、今日に至るまで無遅刻無欠席。

授業中も寝るのは一日に最低二限分だけ。

勝手に騒ぎ立てる連中は鬱陶しくてならないが。

これも全て、ユリに近付く為の辛抱だ。
< 570 / 605 >

この作品をシェア

pagetop