黒百合の女帝
真相の独白〔番外編〕

春姫の独白

桜side

 目の前に広がる光景が、現実味を帯びなかった。

ただただ、目を逸らしてしまいたいほど苦しい現状に。

思わず、膝から崩れ落ちてしまった。

幹部室の床を眺めると、あの部屋を思い出す。

それが嫌で、視線を上げた先では。

知らない人たちが、私を睨み殺そうとしていて。

ユリちゃんが、私の惨めな姿を見下ろしていて。

あんなに大好きなユウヒさんも、私に失望していて。

もう、私の居場所はないんだと思い知らされた。


 ユウヒさんとの出会いは、夜の公園だった。

嶺春倉庫の近くには、小さな公園がある。

そこでその日、私は一人で涙を流していた。

その日は運悪く、父が押し寄せてきたのだ。

離婚届は出したのに、今だに金を毟ってく。

私とママの平穏を、いつも奪っていく。

そんな悪魔が、私は大嫌いだった。

確かあの日も、父に暴力を振るわれて逃げた。

仕事中のママに心配をかけたくない。
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