黒百合の女帝
 それから一ヶ月後の6月上旬。

私は春姫と、ユリちゃんは嶺姫という名を授けられた。

それとほぼ同時期のこと。

ユリちゃんは、ユウヒさんとお付き合いを始めた。

恋心を自覚していたがために、悔しさは大きかった。

それでも、当時は祝福の気持ちがそれ以上にあった。

ユリちゃんは完璧に近い、まさに聖女のような子。

ユウヒさんにふさわしいのは、どう考えても彼女だった。

それに、あの子ならユウヒさんを幸せにしてくれるはず。

そう思ったから、私は諦めたのに。


 異変があったのは、その一ヶ月後。

ある日突然、ユリちゃんに空き部屋へ呼び出された。

あの日の会話は、今でも鮮明に思い出せる。

 『ユリちゃん?どうしたの?』

 『最近、ちょっと気になる事があって。』

ドアに鍵をかけながらそう言うユリちゃん。
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