黒百合の女帝

悪夢の原点

百合side

 「俺、そろそろ嶺春抜けたいんだよね」

歓楽街の一角、人が集う路上にて。

ハラはそう言い、酎ハイの缶を仰いだ。

幹部まであと一歩と話していたが、結局は蹴るのか。

そう思うが、意外には感じなかった。

彼の飽き性は今に始まったことでない。


 それにしても、嶺春か。

ハラ曰く、暴走族の中でも特に優秀な集団だとか。

ここ最近、私は暴走族に興味を示していた。

自分がトップに立ち、集団を纏めてみたい。

それに、一ヶ月後には高校二年生になるのだ。

新しい事を始めるには最適な時期かもしれない。

 「なら、抜ける前に一つ、頼まれてくれない?」

緑茶の蓋を閉じながら、そう提案すれば。

彼は興味を示したのか、目を細めてみせた。
< 583 / 605 >

この作品をシェア

pagetop