黒百合の女帝
 それから六日後の4月25日、日曜日。

計画通り、午後五時に嶺春倉庫へと訪れた。

私の前に現れたのは、嶺春の総長と副総長。

右が総長。見たところ、色恋は簡単そうだ。

応接間に付いて行きながら、内心ほくそ笑む。

相談の間は、ひたすらか弱い少女を演じた。

姫は族から守られる必要があっての地位だ。

ここでは庇護欲を誘う少女を演じる必要があった。


 話がある程度進んだ頃。

事前に用意していた紙を取り出し、彼らに渡す。

すると即座にユウヒの方が表情を険しくした。

これらの手紙は、私が機械で文章を打ったもの。

一応、中学の頃にもストーカーに遭っていた。

その当時に捨てた手紙をモデルにしているのだ。

つまり、気持ち悪く感じるのは当然なのである。


 それからは、なんとかごり押しで乗り切った。

親が出張中だとか、大人には相談できないだとか。

実際は一人暮らしな上、親には今すぐ告げ口が可能だ。

ストーカーは実在するが、ストーキングはもっと前から。

護衛など、私の実力からすれば必要ない。

が、名優さながらの演技力で、なんとか護衛は頼めた。

あとは例の金づるに上手く殺意を抱かせるまでだ。
< 587 / 605 >

この作品をシェア

pagetop