黒百合の女帝
 すると小路は困惑したのか、声音が弱気になる。

そう、彼は本来は内気で恋愛経験の乏しい男なのだ。

私が少し泣き真似を披露しただけで、こうも引っ込んでしまう。

顔から手を外したが、やはり外さねば良かった。

その所為で、笑みを堪えるのが大変だ。

小路の間抜け面を見つめつつ、事前に用意した事情を語る。

 「あの人はね、違う学校の先輩なの。」

 「そんな、どこで知り合ったんだ?」

 「友達の試合に応援に行った時……。その時、強引に連絡先を訊かれて……。」

 「断れなかったのか?」

 「無理だよっ、相手はサッカー部のエースで、喧嘩っ早い問題児って有名なんだよ?」

まあ、ユウヒはあまりサッカー部の顔でないが。

しかし、スポーツはしていそうな雰囲気がある。

ならば、ある程度の説得力はあるだろう。
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