黒百合の女帝
 「それで、しつこく付き纏われてて……。怖くて、断れなくて。」

 「つまり、モエはあの男が好きとかでは……?」

 「さっきも言ったでしょ?本当は一緒に居たくもない。」

苦しげに声を出せば、小路は真剣な顔付きになる。

どうやら、今の話を真に受けてくれたようだ。

安心感と共に、サッカー部エースへの嫌悪感も見受けられる。

が、まだ殺意にまでは行き届いていない。

殺意がなければ、警察の介入という面倒な事態になってしまう。

となれば、彼の背中を押してあげよう。

 「実は……あの人に、襲われたの。」

 「……は?」

 「その時に、写真を撮られて……。あの人が写真を持っている限り、私は付き随うしかない。」

とんだでっち上げに、小路はまず初めに呆けて見せた。

そしてその次に、焦ったように解決策を提案してきた。

 「俺が代わりに写真を消すってのは?それなら……」

 「だめ。さっきも言ったけど、乱暴な人なの。小路さんが怪我しちゃう。」

 「いや、警察に同行して貰って……」

 「警察に写真を見られなきゃいけないの?それに、大事にしたらどんな報復が待ってるか……。」
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