黒百合の女帝
 ユウヒが極悪人になっていく中、小路の様子を確認する。

仕事では人間関係に悩み、家庭はなく、家族とは疎遠。

そんな彼には、モエしか居ないのだ。

しかし、そんな唯一のモエさえ汚されてしまった。

まだ私と肉体関係を持っていないのにも拘わらずだ。

それに加え、彼はプライドだけは高い人物。

私に彼氏としての格好を付けようと必死になるだろう。

一度も付き合うと言った覚えはないのだが。

そんな訳で、モエへの執着と比例し、やるせなさが湧くことだろう。

そしてその怒りは、全てサッカー部エースに向けられる。

 「なら……やっぱり、俺が行くよ。その男に写真を消すよう話をつける」

 「危険だよ。武器でも持たない限り……。」

 「なら、護身用にナイフでも持って行けばいい。大丈夫、俺がモエを守るから」

下心が丸見えの発言だが、まあ良いだろう。

上手く運ばれていく状況に、微笑を浮かべてみせる。

直視してみると、やはりこの男は肌が汚かった。

 「あのね……私の本名、ユリって言うの。」

 「ユリ……?モエじゃなかったのか」

 「うん。今まで教えてなくてごめんなさい。でも、小路さんには本名で呼んで欲しかったから。」

ユウヒの前でモエと呼ばれては困るからな。

兎にも角にも、これで準備は整った。

あとは明日、彼に奇襲を掛けて貰うだけだ。
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