黒百合の女帝
 翌日、計画通り小路は現れた。

住宅街の中、迫り来る足音に期待を寄せる。

ユウヒの背に隠れた状態で、街頭に注視すれば。

そこには、出刃包丁を握った小路が居た。

狙い通りに行った。全て計画通りだ。

自身に酔い痴れそうになるが、なんとか正気を保つ。

小路の視線は、私に注がれていた。

ユウヒは彼から目を反らせない筈。

それを見越した上で、小路に微笑んでみせた。

人を騙す度に浮かべてきた笑みが、街灯に照らされる。

小路はそんな私から、視線を逸らさなかった。

それを確認してから、口を開く。

そして、あらゆる口の形を一つ一つ繋げていった。

私が声に出さずに、小路に伝えたのは。

『おねがい』の、たった四文字だった。
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