黒百合の女帝

証拠の捏造

 私がミヤビを復讐の対象から外す。

その代わりにミヤビは麓冬の依頼を一つ引き受ける。

という条件を、遠い昔に交わした訳だが。

私は彼にいつなにを依頼するかを最初から決めていた。

それが、

 「ユウヒが調べたら出てくるように、鍵管理台帳とサクラの鞄に細工を施して。」

というものだった。

私の命令を聞き、ミヤビが眉を顰める。

エスプレッソが苦かったから、ではないだろう。

 「ユウヒを扇動しろ、ってこと?」

 「そんな感じかな。まずはサクラの証言の裏付けをするよう促して。」

お前に掛かれば、これくらいは簡単だろ。

そう見越していた通り、ミヤビは軽く首肯した。

 「それは良いけど、その続きは?」

 「ヤユからサクラの証言を全部聞いてきたけど、七月にカッターで刺されたって言ったんでしょ?」

 「言ってたね。事実だろうけど。」

 「事実かどうかは関係ないの。」
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