ひまわりみたいなあなたにもう一度恋をする~再会したのは元不良の同級生~
「錦、こいつは適当にあしらってくれていいから」
「うわ、ひでー」
「いいから炭を持って来いよ。全然足りないぞ」
「はいはい。どうせ俺は正宗みたいにモテませんよ!」
阿久津は捨て台詞を吐きながら、事務所の方に走って行った。
「ふふっ」
ふたりの掛け合いが面白くて、美織はクスクスと笑い出す。遠慮なく阿久津と言い合う正宗を見られただけでも、同期会に来た価値がある。
「阿久津ひとりだと大変だろうから、ちょっと手伝ってくるな」
「あ、綾辻くん!」
美織は周りの人に聞こえないように、注意深く小声で尋ねた。
「綾辻くんが金髪だったことは内緒にしておいた方がいい?」
阿久津の言うように正宗の昔話を披露してもいいのか、念のために確認しておきたい。
本人の了承なしに、言いふらすのは美織にとっても本意ではないからだ。
すると、正宗はわざわざ腰を折り、美織の耳元で囁くように答えた。
「ふたりだけの秘密な」
そう言うと椅子から立ち上がり、阿久津のあとを追いかけて行った。
(”ふたりだけの秘密”……)
甘美な響きに頭がクラクラしそうだ。美織は熱くなる頬を誤魔化すように手元にあったレモンジンジャーのお酒を飲んだ。