ひまわりみたいなあなたにもう一度恋をする~再会したのは元不良の同級生~
◇
「おはよう。錦さん」
「お、おはようございます……」
先に出社していた正宗からの挨拶に、美織の心臓が跳ね上がる。
ひまわり畑に出掛けた翌週の月曜日。美織はおっかなびっくり出社した。
週をまたいでも正宗から好きだと言われた衝撃が収まらない。
(声が裏返ってたかも)
それこそ純情可憐な高校生じゃあるまいし、こんなに動揺するなんてみっともない。
「悪いんだけど、朝一で弁護士事務所に契約書の進捗を確認してもらえる?昨日送るって話だったのに、まだ届いてないんだ」
「わ、わかりましたっ!」
海外事業部が管轄するプロジェクトのほとんどは国際契約になる。
国内の常識が通用しない海外との契約には細心の注意を払う必要がある。
そのため、正式な契約を作成する際は、国際契約に詳しい提携先の弁護士に添削をお願いしているのだ。
美織は椅子に座ると、ノートパソコンの電源を入れた。そして、愛用のマグカップ片手にウォーターサーバーから白湯を入れる。
始業の準備の合間に、チラリと正宗のデスクに視線を巡らせる。
パソコンへ向かう真剣な眼差しはいつもとなんら変わらないように見えた。
サンキャッチャーの贈り主が自分だと白状したときは首まで真っ赤になっていたのに。
(ポーカーフェイスが上手すぎない?)
自分だけがドキドキしていてバカみたいだ。
逆に、いかにも好意がありますなんて態度をとられても、それはそれで困ってしまうのだけれど。
(私は正宗くんをどう思っているんだろう)
美織が正宗に淡い恋心を抱いていたのは十年も前の話だ。
果たして、今の彼を好きだと言えるのだろうか。
そうやって自問自答していたら、あっという間に午前中が終わってしまった。