ひまわりみたいなあなたにもう一度恋をする~再会したのは元不良の同級生~

「錦さんに仕事をお願いしてもよろしいですか?ちょっと急ぎなんですけど」

 午後の仕事が始まってから数分後、正宗のデスクを訪れたのは同じアジアチームで働く冴木だ。
 正宗よりも二歳年下だが非常に優秀な女性で、未来のエース候補として期待されている。

「錦に?」

 想定外の依頼に、正宗も訝しんでいる。
 美織を指定するなんて、本来ならありえない。
 まだ試用期間中で、正宗から少しづつ仕事を教えてもらっている途中だからだ。
 自分の名前が連呼され気が気でない美織は、恐るおそる後ろを振り返った。
 正宗は冴木から渡された書類の束をめくりながら尋ねる。

「これって北米チームの管轄じゃないか?」
「それが、担当者から先ほど入院したと連絡があって……。盲腸だったそうです」
「だからってうちに回すことないだろうに。期限は今月末?」
「そうです。来週にはチェックして上長の決済まで回したくて……」

 会話についていけない美織は、ふたりのやりとりにひたすら耳を傾けるしかできない。
 雇われているからには、いつ仕事が振られてもおかしくはない。
 激務と名高い海外事業部には社員を悠長に遊ばせている余裕などないはずだ。
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