黒き噂の辣腕社長は強がり契約妻に生涯愛を絶やさない
* * *
「当日は、着物でもいいかなあ?」
プレオープンの日程が正式に決まり、私はなにを準備すればいいのか彼に相談する。
「まだ暑さが残っているだろうし、依都の体調が心配だな」
気候的に着物がむかないのなら、なにを着たらいいのだろう。
「俺に、依都を着飾らせてほしい」
迷う私に、光毅さんがそんな提案をしてきた。
旅行用にと、これまでも何着かプレゼントされているから新たに買う必要はない。そう言い返したいところをぐっとのみ込む。
意味深な言い方をしていたが、ようは仕事だと言いたいのだろう。社長の隣に立つとなれば、適当な恰好はできない。彼はそう伝えたかったのだと思う。
秘書として彼の隣に立つ楢村さんは、いつだって洗練された装いをしている。もとからのスタイルのよさと整った顔立ちもあり、表情は穏やかでも隙を感じさせない。
その仕事ぶりは私ではわからないけれど、社長である彼がそばに置くくらいだ。彼女は優秀な人なのだろう。
楢村さんほどのレベルを求められても私では無理だが、せめて見映えはよくしておいてほしい。そういう意味だと察した。遠回しの言い方は、一応気遣われたのだろう。
「次の休みに、買いに行こう」
そうして週末になり、光毅さんにデパートへ連れ出された。
初めからどこで買うのかは決めていたようで、脇目も振らずとあるブランド店へ向かう。そうしてお店に入る前に足を止めて、私に視線を向けた。
「楢村が、依都のイメージならここがいいだろうと教えてくれた」
「楢村さんが……」
「彼女はファッションに詳しいから」
どうしてここで彼女の名前を聞かなくちゃならないのかと動揺する。
でも、それを光毅さんに訴えても仕方がない。仲の良い夫婦を演じなければと、なんとか気持ちを切り替える。
「当日は、着物でもいいかなあ?」
プレオープンの日程が正式に決まり、私はなにを準備すればいいのか彼に相談する。
「まだ暑さが残っているだろうし、依都の体調が心配だな」
気候的に着物がむかないのなら、なにを着たらいいのだろう。
「俺に、依都を着飾らせてほしい」
迷う私に、光毅さんがそんな提案をしてきた。
旅行用にと、これまでも何着かプレゼントされているから新たに買う必要はない。そう言い返したいところをぐっとのみ込む。
意味深な言い方をしていたが、ようは仕事だと言いたいのだろう。社長の隣に立つとなれば、適当な恰好はできない。彼はそう伝えたかったのだと思う。
秘書として彼の隣に立つ楢村さんは、いつだって洗練された装いをしている。もとからのスタイルのよさと整った顔立ちもあり、表情は穏やかでも隙を感じさせない。
その仕事ぶりは私ではわからないけれど、社長である彼がそばに置くくらいだ。彼女は優秀な人なのだろう。
楢村さんほどのレベルを求められても私では無理だが、せめて見映えはよくしておいてほしい。そういう意味だと察した。遠回しの言い方は、一応気遣われたのだろう。
「次の休みに、買いに行こう」
そうして週末になり、光毅さんにデパートへ連れ出された。
初めからどこで買うのかは決めていたようで、脇目も振らずとあるブランド店へ向かう。そうしてお店に入る前に足を止めて、私に視線を向けた。
「楢村が、依都のイメージならここがいいだろうと教えてくれた」
「楢村さんが……」
「彼女はファッションに詳しいから」
どうしてここで彼女の名前を聞かなくちゃならないのかと動揺する。
でも、それを光毅さんに訴えても仕方がない。仲の良い夫婦を演じなければと、なんとか気持ちを切り替える。