黒き噂の辣腕社長は強がり契約妻に生涯愛を絶やさない
 それから四人で話した後に別れ、もう少しひとりで見て回ることにした。

 遊園地に体験館。動物と触れ合える施設と、子どもも大人も楽しめそうなものばかりだ。
 すれ違った中には、反対派だった人もいた。彼らの表情は明るくて、好意的に受け入れられているとほっとした。

 それにしても、日差しが暑い。

 少し休みたくて、涼を求めて人の少ない建物の陰へ向かう。光毅さんの妻という立場もあり堂々と休憩してはいけないような気がしていたが、ようやく人の目がなくなってほっとした。

「はあ、涼しい」

 今日のプレオープンは、成功だと言えるはず。
 招かれた人たちから漏れ聞こえる話は、好意的にものが多かった。ぜひ遊びに来たいと話している人たちもいた。

 ハンカチを取り出して、顔をあおぐ。思った以上の暑さで、着物はやめて正解だった。

「依都」

 すっかり気を緩めていたところを見つかったと、ギクリとする。
 でも振り返った先にいたよく見知った人物に、ほっとして笑みが浮かんだ。

「大和!」

 うれしくて思わず声をあげたが、彼の険しい表情に気づいて近づこうとした足を止める。

「大和?」

「なんで依都が犠牲にならなきゃなんないんだよ」

「え?」

 なにを言われているのかわからず、首を傾げる。
 そういえば、大和と最後に会ったときも様子がおかしかった。
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