黒き噂の辣腕社長は強がり契約妻に生涯愛を絶やさない
これ以上、大和に彼を悪く言わせるわけにはいかない。誰かに聞かれたら、ここまで築き上げてきたものが台無しになりかねない。
「依都。俺は、ずっと依都のことが――」
「大丈夫だから。私は光毅さんに大切にしてもらっている。結婚と、再開発の件はまったく関係ないの」
悲痛な顔をする大和にたまらない気持ちになり、彼を遮るように声をあげる。
ますます表情を険しくした大和はなにか言いたげな様子を見せたが、ぐっと唇を引き結んでしまった。
「……そうか」
ようやくそのひと言を発すると、彼は私に背を向けて歩きだした。
和解できなかった。そもそもどこで拗れてしまったのかがわからない。
弟のように一緒に育ってきた彼を、結果的に騙している罪悪感は大きい。すべてが終わったときに真実を打ち明けたら、彼は私を軽蔑するだろうか。
そうなったら寂しいけれど、自分で決めたことだから仕方がないと、小さく息を吐き出した。
その直後に、別の方向からこちらへ向かってくる男性の存在に気づいて背筋を伸ばす。どういう立場の人かはわからないが気の抜けた顔は見せられないと、瞬時に表情を取り繕った。
「依都。俺は、ずっと依都のことが――」
「大丈夫だから。私は光毅さんに大切にしてもらっている。結婚と、再開発の件はまったく関係ないの」
悲痛な顔をする大和にたまらない気持ちになり、彼を遮るように声をあげる。
ますます表情を険しくした大和はなにか言いたげな様子を見せたが、ぐっと唇を引き結んでしまった。
「……そうか」
ようやくそのひと言を発すると、彼は私に背を向けて歩きだした。
和解できなかった。そもそもどこで拗れてしまったのかがわからない。
弟のように一緒に育ってきた彼を、結果的に騙している罪悪感は大きい。すべてが終わったときに真実を打ち明けたら、彼は私を軽蔑するだろうか。
そうなったら寂しいけれど、自分で決めたことだから仕方がないと、小さく息を吐き出した。
その直後に、別の方向からこちらへ向かってくる男性の存在に気づいて背筋を伸ばす。どういう立場の人かはわからないが気の抜けた顔は見せられないと、瞬時に表情を取り繕った。