聖女天使を苦しめた国に、天罰を
1・戦場の天使(クロディオ)
「くそ……っ!」
――ここは、戦地のど真ん中。
劣勢に追い込まれたパロニード辺境伯の騎士団達の誰もが、死を覚悟した時――上空から勢いよく飛来してくる、謎の人物が現れた。
「おい! なんだ? あれは……!」
「こっちに向かってくるぞ!」
勝利を確信した敵国の騎士達が口々に囁き合う姿を目にした男――パロニード辺境伯騎士団の指揮を取るクロディオは、最後の力を振り絞って剣を振るう。
そうして、敵を屠っている最中……。
――背中に美しい翼を生やした1人の少女が、戦地に降り立った。
「な……っ! 聖女天使だと!?」
敵国の騎士が彼女を役職名で呼んだのが気に食わないのか。
絹糸のように光り輝く銀髪を腰元まで長く伸ばし、生気の灯らない女性らしい桃色の瞳を不愉快そうに歪める。
「わたしを捨てた国など、滅びてしまえばいい……」
天使は苦虫を噛み潰した表情で吐き捨てると、両翼を勢いよく羽ばたかせた。
「やめろ……!」
それが聖なる加護を授ける合図だと知っていたクロディオは、力いっぱい叫び声を上げて、それを阻止しようと試みた。
しかし――。
「わたしの敵は、あなたじゃない……」
苦しそうにか細い声で告げた少女は、その静止を聞かず――自らの力を、解放した。
――ここは、戦地のど真ん中。
劣勢に追い込まれたパロニード辺境伯の騎士団達の誰もが、死を覚悟した時――上空から勢いよく飛来してくる、謎の人物が現れた。
「おい! なんだ? あれは……!」
「こっちに向かってくるぞ!」
勝利を確信した敵国の騎士達が口々に囁き合う姿を目にした男――パロニード辺境伯騎士団の指揮を取るクロディオは、最後の力を振り絞って剣を振るう。
そうして、敵を屠っている最中……。
――背中に美しい翼を生やした1人の少女が、戦地に降り立った。
「な……っ! 聖女天使だと!?」
敵国の騎士が彼女を役職名で呼んだのが気に食わないのか。
絹糸のように光り輝く銀髪を腰元まで長く伸ばし、生気の灯らない女性らしい桃色の瞳を不愉快そうに歪める。
「わたしを捨てた国など、滅びてしまえばいい……」
天使は苦虫を噛み潰した表情で吐き捨てると、両翼を勢いよく羽ばたかせた。
「やめろ……!」
それが聖なる加護を授ける合図だと知っていたクロディオは、力いっぱい叫び声を上げて、それを阻止しようと試みた。
しかし――。
「わたしの敵は、あなたじゃない……」
苦しそうにか細い声で告げた少女は、その静止を聞かず――自らの力を、解放した。