聖女天使を苦しめた国に、天罰を
(何が、起きている……?)
クロディオは呆然と目を見開き、天使に訝しげな視線を向ける。
――彼はよく、知っていた。
たとえ信じられない出来事に直面したとしても、戦場で長時間我を失うなどあり得ないと。
(彼女に気を取られている場合ではない。これは、最後のチャンスだ……)
1人でも多くの生存者を残すためにも。
騎士団の指揮を取る者として――クロディオは真っ先に剣を振るう必要があった。
「感謝する」
男の謝辞に、彼女は何も答えなかった。
感情の籠もらぬ瞳でその場に留まり続ける天使が何を考えているのかなど、クロディオには知る由もない。
(一つ、確かなことがあるとすれば――)
敵国の出身と思われる聖女天使が、彼らの味方であることだけだ。
「パロニード辺境伯騎士団に告ぐ! 総員、突撃! 聖女天使の加護を、無駄にするな!」
「うぉおおおお!」
彼女の聖なる力を受け取ったクロディオ達騎士団の面々は、先程まで地面に突っ伏していたのが嘘のように力を漲らせると――敵を退けた。
「か、勝った……」
誰かが呆然と呟いた瞬間、騎士達は抱き合い泣き叫ぶ。
クロディオは呆然と目を見開き、天使に訝しげな視線を向ける。
――彼はよく、知っていた。
たとえ信じられない出来事に直面したとしても、戦場で長時間我を失うなどあり得ないと。
(彼女に気を取られている場合ではない。これは、最後のチャンスだ……)
1人でも多くの生存者を残すためにも。
騎士団の指揮を取る者として――クロディオは真っ先に剣を振るう必要があった。
「感謝する」
男の謝辞に、彼女は何も答えなかった。
感情の籠もらぬ瞳でその場に留まり続ける天使が何を考えているのかなど、クロディオには知る由もない。
(一つ、確かなことがあるとすれば――)
敵国の出身と思われる聖女天使が、彼らの味方であることだけだ。
「パロニード辺境伯騎士団に告ぐ! 総員、突撃! 聖女天使の加護を、無駄にするな!」
「うぉおおおお!」
彼女の聖なる力を受け取ったクロディオ達騎士団の面々は、先程まで地面に突っ伏していたのが嘘のように力を漲らせると――敵を退けた。
「か、勝った……」
誰かが呆然と呟いた瞬間、騎士達は抱き合い泣き叫ぶ。